春巻と杏仁豆腐

歌集を中心に読んだ本の感想など。

2016-01-01から1ヶ月間の記事一覧

夕照とゆくへ

黒瀬珂瀾『蓮喰ひ人の日記』短歌研究社(2015) 明日へわれらを送る時間の手を想ふ寝台に児をそつと降ろせば(p115) 第三歌集。イギリス滞在中13ケ月の歌。長女の誕生、多民族が集う土地での子育て。その間、東日本大震災、暴動が起きる。各歌に詞書。ジェ…

砂糖パンと猫

小池光『思川の岸辺』(角川書店)を読んだ。 わが妻のどこにもあらぬこれの世をただよふごとく自転車を漕ぐ(p83) 亡くなった妻への思いを詠んだ歌を中心に542首。 読み終えて、歌集一冊の時間の重みについて考える。 亡くなった妻や、家族の記憶へ思いを…